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奈良県南部、大峯山系の深い山々と美しい清流に囲まれた天川村。筆者も渓流釣りで何度も足を運んでいる大好きな場所です。
なかでも洞川温泉は独特の風情があります。旅館が並ぶ温泉街を歩き、ごろごろ水や大峯山の自然に触れるだけでも、都会とは時間の流れが違うように感じられます。
そんな天川村に、わざわざ遠方からジェラートを食べに訪れる人がいるという人気店があります。
それが、TENKARA GELATO(テンカラジェラート)です。
テレビ番組でも紹介された名物が「薪ミルク」。名前だけ聞くと「薪の味がするの?」と思ってしまいますが、これが普通のミルクジェラートとはまったく違う個性的な味だと評判です。
しかもジェラートを手掛けるのは、一流レストランで経験を積んできた料理人夫婦。天川村の素材や風土そのものをジェラートで表現しています。
いったいどんなお店なのでしょうか。
天川村で生まれた「TENKARA GELATO」
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「TENKARA GELATO」があるのは、奈良県吉野郡天川村沢谷。天川村役場にも近い場所です。
2023年に誕生した自然派ジェラート専門店で、店名の「TENKARA」には、天川村の名前とともに「天からの恵みをいただく」という意味が込められています。 (READYFOR)
実際、こちらのジェラートを見ていると、この名前が実にしっくりきます。
天川村の木、果物、山の植物、奈良県や紀伊半島の食材など、その土地にあるものを生かして味を作っているからです。
店を営むのは、天川村出身の畠中亜弥子さんと、夫でフレンチシェフの砂山利治さん。
亜弥子さんは和食や寿司の世界で経験を積み、金沢では寿司・和食店を経営してきた料理人。一方の砂山さんはフランスやスイスの星付きレストランなどで腕を磨いた実力派です。
砂山さんは2019年に金沢で「Les Tonnelles」を立ち上げ、「ミシュランガイド北陸2021」で二つ星とグリーンスターを獲得しています。 (TENKARA GELATO)
つまり「山奥にある素朴なアイス屋さん」というイメージで訪れると、いい意味で裏切られます。
料理人が本気で一皿の料理を組み立てるように、香り、酸味、甘味、苦味、食感まで考えて作ったジェラートなのです。
名物「薪ミルク」とは?

番組より(ten.)
TENKARA GELATOを代表するフレーバーが「薪ミルク」です。
最大の特徴は、天川村で出た間伐材を薪として利用し、ミルクに燻製の香りをまとわせていること。
天川村は山に囲まれ、かつて林業が盛んだった地域です。現在も人工林が広がっています。
そこで、山の木を単なる背景にするのではなく、「味」としてジェラートの中へ取り込んだのが薪ミルクなのです。
これがおもしろい。
口に入れれば、まずミルクの濃厚でやさしい甘味。その後から、ふわっと薪を燃やしたようなスモーキーな香りが広がります。
さらに炭化させた柚子の皮がアクセントとして使われており、単純な「燻製+ミルク」ではありません。
2026年7月に訪れた口コミでも、薪ミルクは500円で提供されており、「濃厚なミルク」「薪の香り」「柑橘のアクセント」という組み合わせが高く評価されています。 (食べログ)
ジェラートなのに、どこか料理を食べているような感覚。
一流フレンチのシェフがレシピを考えていると聞けば納得できます。
山の中で薪を焚いたときの香りを知っている人なら、なおさら印象に残る味ではないでしょうか。
天川村らしい個性的なフレーバーがずらり

魅力は薪ミルクだけではありません。
TENKARA GELATOでは、その時期に入る素材によってさまざまなジェラートが登場します。

これまでには、
・番茶
・洞川夏いちご
・古都華ミルク
・キハダの実とチョコレート
・豆腐スパイス
・甘酒×シナモン×生姜
・じゃばらソルベ
・季節の果物や野菜
などが提供されています。
名前だけでも普通のジェラート専門店とはかなり違います。
とくに注目したいのが「キハダの実」です。
大峯山・洞川周辺で有名な伝統薬「陀羅尼助丸」に使われるキハダに着目し、その実をチョコレートと組み合わせています。
キハダの実には柑橘を思わせる爽やかさやベリー系の香りがあり、チョコレートと合わせることでオレンジピールやショコラフランボワーズを思わせる味わいになるそうです。
「地元の名物をジェラートにしました」という単純な発想ではなく、素材の香りを分析して別の素材と組み合わせる。このあたりが料理人ならではでしょう。
夏なら「洞川夏いちご」も気になる
天川村をよく訪れる人なら「洞川(どろかわ)」という名前にも反応してしまいます。
季節によっては「洞川夏いちご」を使ったジェラートも登場します。
洞川地区は標高が高く、夏でも比較的涼しい土地。その気候を生かして育てられる夏いちごは酸味があり、ジェラートにするとすっきりと爽やかな味わいになるといいます。
洞川温泉を散策したあと、あるいは登山や川遊び、渓流釣りの帰りに食べる冷たいジェラート。
これはかなり魅力的です。
天川村の場合、単に商品を食べるというより、山の空気や川の音まで含めて味わうところに価値があるように思います。
値段はいくら?
ジェラートの価格はフレーバーや時期によって変更されています。
テレビ番組「ten.」(2026年9月14日放送分)では、ダブル800円(村民500円)で紹介されていました。

薪ミルク500円です。
季節限定品や素材によって追加料金が設定される場合もあるようです。
最新のフレーバーと価格は店頭や公式Instagramなどで確認してから出かけるのがおすすめです。
なぜ天川村でジェラートだったのか
実はジェラート店誕生の背景も興味深いです。
畠中亜弥子さんは天川村の旅館で生まれ育ち、一度は村を離れて料理人として経験を積みました。
その後、故郷へ戻り、「食」を通じて天川村を元気にしたいと考えるようになります。
そこで取り組んだのがジェラートでした。
ジェラートなら農作物の形が多少悪くても活用でき、冷凍保存できるため食品ロスも減らせます。
さらに果物、野菜、木の実、ハーブなど、組み合わせの自由度も高い。
将来的には自分たちで育てた農産物をジェラートに使う構想も掲げています。
つまりTENKARA GELATOは観光客向けのスイーツ店というだけではありません。
「天川にあるものをどう食べ物に変え、どう地域の魅力として発信するか」という地域づくりの試みでもあるのです。
口コミは?「わざわざ行く価値あり」の声
口コミを見ると、やはり薪ミルクの評価が目立ちます。
「ひと口目から燻製感がある」「普通のミルクジェラートとはまったく違う」「濃厚なミルクと薪の香りがおもしろい」といった趣旨の感想が投稿されています。
また、薪ミルクだけでなく番茶、古都華、じゃばら、季節のソルベなど、複数の味を食べ比べている人も多いようです。
食べログでは2026年9月現在、60件ほどの口コミが掲載され、3.43という評価になっています。山間部の小さな村にあるジェラート専門店としては、かなり注目を集めていることがうかがえます。 (食べログ)
店舗そのものについても、「自然の中で食べる雰囲気がいい」「吊り橋を渡って向かう道中も楽しい」といった声があります。
ジェラートだけではなく「天川まで行く体験」そのものが楽しみになっているのでしょう。
アクセスは?天川川合バス停から徒歩約5分
車で訪れる場合、大阪市内からは目安として約2時間半、奈良市内から約2時間、橿原神宮周辺からなら約1時間です。
公共交通機関の場合は、近鉄吉野線「下市口駅」から奈良交通バスの洞川温泉行き、または中庵住行きに乗車。「天川川合」で下車し、徒歩約5分です。
洞川温泉へ向かう途中に立ち寄る旅程も組みやすい場所です。
ただし天川村内の道路は山道も多く、観光シーズンには混雑することがあります。
専用駐車場も台数が限られているため、余裕を持って訪れたいところです。
実家は「せせらぎの宿 弥仙館」
TENKARA GELATOを語るうえで忘れてはいけないのが、せせらぎの宿 弥仙館です。
実はオーナーの畠中亜弥子さんは、この弥仙館の次女として生まれ育ちました。
弥仙館は明治時代から続く宿で、天川村公式観光サイトでも「せせらぎに面した絶好のロケーション」「地元食材等のうまい料理にうまい酒」を楽しめる宿として紹介されています。
宿の名前通り、魅力は川のせせらぎを身近に感じられること。
天川村は豪華なリゾートホテルへ泊まりに行くという場所ではありません。
川の音を聞き、山の空気を吸い、夜になれば静かな時間を過ごす。そういう旅が似合う土地です。
弥仙館はまさに、その天川らしさを味わえる宿の一つでしょう。
さらに弥仙館では、砂山さん夫妻がレストラン「SÉN」を展開しています。奈良県の奥大和移住サイトでも、弥仙館内のレストランとして紹介されています。
ジェラートから始まり、本格的な料理、宿泊へ。
「天川に来てもらい、この土地そのものを味わってもらいたい」という夫妻の取り組みは少しずつ広がっています。
洞川温泉や渓流釣りと一緒に楽しみたい
個人的には、TENKARA GELATOだけを目的に天川へ行くというより、「天川を一日楽しむ途中に立ち寄る」のが最もぜいたくな楽しみ方だと思います。
洞川温泉を歩くのもいいでしょう。
大峯山系へ向かうのもいい。
夏なら川遊びがありますし、釣り好きなら天ノ川やその支流に思い入れがある人も多いはずです。
筆者も天川村へは何度も渓流釣りで訪れていますが、清流を見ながら一日過ごした後に「薪ミルク」を食べるというのは、いかにも天川らしい楽しみ方ではないでしょうか。
単なるミルク味ではなく、天川の山の木を薪にして、その香りまでジェラートに閉じ込める。
そう考えると、「薪ミルク」という商品はTENKARA GELATOを象徴するだけでなく、天川村そのものを表現した一品なのかもしれません。
まとめ
奈良・天川村の「TENKARA GELATO」は、一流料理人の技術と天川村の自然が組み合わさった、少し異色のジェラート専門店です。
看板商品の「薪ミルク」は、村の間伐材を薪として使い、ミルクを燻すことで山の香りを表現したもの。
ほかにも洞川夏いちご、番茶、キハダの実、じゃばら、豆腐やスパイスなど、紀伊半島の食材を生かした個性的なフレーバーが並びます。
そして背景をたどれば、明治時代から続く「弥仙館」と料理人一家の物語があります。
大阪からなら決して近くはありません。
それでも遠方から人が訪れるのは、この店のジェラートが単に「おいしい」だけではなく、「ここでしか食べられない味」だからでしょう。
洞川温泉、天川の清流、大峯の山々、そしてTENKARA GELATO。
次に天川へ行く際には、筆者もぜひ薪ミルクを味わってみたいと思います。
【店舗情報】
店名:TENKARA GELATO(テンカラジェラート)
住所:奈良県吉野郡天川村沢谷2-1
電話:050-8890-4017
営業時間:10:00~17:00
※11月末~4月中旬は12:00~16:00
定休日:公式サイトでは月曜日、不定期で火曜日も休業と案内されています。
アクセス:近鉄吉野線「下市口駅」から奈良交通バス「洞川温泉」行きまたは「中庵住」行き、「天川川合」下車徒歩約5分
駐車場:公式サイトでは2台

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